症例事例

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褥 瘡

入居者様紹介

88歳 女性 【要介護度3】 パーキンソン病 脳梗塞

約2ヵ月の入院を経て、当施設で迎えた時には、「左腸骨部 7cm×6cm 深さが、筋肉や腱、間接包にまで達する褥瘡(分類Ⅳ)」ができている状態であった。

当施設の介護

初日〜3ヶ月

パーキンソン病による、四肢の拘縮が強く座位が取れず、ベッド上では2時間ごとの体位変換、安楽保持、ドライヤー乾燥、ガーゼ交換を行い、通気性を良くする為にリクライングへの移乗を試みる。その結果、血液循環の改善と湿潤除去ができた。

ベッド上だけで過ごすのではなくて、本人様が褥瘡を治す意欲を持ってもらう為、自室ではなく、食堂で食事をしてもらい、外部から活気を与え、ご飯を積極的に食べて頂く等の環境を整える。

栄養改善と皮膚再生の為にたんぱく質を多く摂取してもらう。

水分も摂取しずらかった為、ご飯に水分を取り入れ半粥にした結果、2杯摂取される。

壊死組織があるので、1日2回の洗浄を行い、ガーゼや綿球を用いて、生理食塩水で洗浄し、褥瘡治療軟膏処置をする。(分類Ⅳ⇒分類Ⅲ)

平成23年10月〜11月

夜間ケア時「お下の交換に来ました」と声をかけると目を開けられ「ショーツでしょ?」と言い直され「交換して、きれいにします」と「ショーツのことでしょ」と話され時々うっすら笑みを見せられる。

ここ2日間の夜間は、独語多く又幻覚がある様子で、手を伸ばし、何かをつかむような行為や「早く引っぱって」と話されながらの言動が有り。結果6時まで入眠されず。

午前中四肢冷感あり、手や足をさすりながら「寒いですか?」と聞くと、くすぐったいのか?笑い出して「寒くないよ〜」と返答され、室温と寝具で調節し温め午後には冷感も消失し「ありがとう」と言って下さる。

「さっきリハビリの先生きたよ」と話され「足もよく動くようになった」とうれしそうに話される。

4ヶ月〜5ヶ月

1日1回の洗浄となり、肉芽形成が行われて、内部から肉が盛り上がる。

褥瘡部から浸出液も徐々に減り表皮の色もきれいなピンク色になる。(分類Ⅱ)

6ヶ月〜完治まで

この頃より痛覚も出てき、浸出液に押出されるように、肉芽形成が加速され、改善がわかる。左腸骨褥瘡部 2cm×3cmに縮まり、深さはなく、傷口としては、ほぼ閉じかけてき、245日目には完治する。 尚、今現在も、ベッド上では2時間ごとの体位変換、通気性を良くする為にリクライニングへの移乗を続けている。

おわりに

共通して医療と介護で外部から刺激を与えるのは同時でないといけない。

看護師だけが、治療処置だけしてても治らない、介護士だけが、食堂へ行きご飯を食べさせても治らない。

互い職が治す!! という意識を持ち、同時である事が、より一層回復力を増す。

外部からの刺激を与えることを、主とし、看護師は傷が治っていく状況をご本人様に伝え、処置をしながら「痛いですか?」 「痛い!」 「痛いことは治ってきてる事ですよ!」 とその様子を伝え、今、洗っている。今、薬を塗っている。無言になりがちな処置を、目的意識を持ってご本人様が持つ残存機能と自己治癒力を引き出す。

しゃべりながら、すなわち、外部から刺激を与える事で、本人様にも活気を与える。

もし介護に抵抗があればすすまないし、治らない。

介護・看護・本人の意思、何一つも欠けずに条件が整った共同作業だから、約245日で褥瘡が完治したのであろう。

これには、ご本人様ご自身の意思と治す力が大きかったのだと思う。